REPORTS

産学連携促進のために大学が取り組むべき2つのマネジメント ~ バイオ・医療分野における知財と利益相反の戦略的管理 ~

主催:東京大学政策ビジョン研究センター (協力:政策シンクネット)  2016.06.15

 

2016年3月25日、日本橋ライフサイエンスビルディングで、東京大学政策ビジョン研究センター主催のシンポジウムが開催されました。産学連携を推進する同センターが、「平成27年度文部科学省産学官連携リスクマネジメントモデル事業」の一環として企画したものです。産学官の有識者による講演とパネルディスカッションを70名以上の来場者が熱心に聴講しました。

開会にあたり、東京大学政策ビジョン研究センター教授・副センター長の渡部俊也氏が、同センターでは知財活用と利益相反マネジメントを産学連携推進の両輪と位置づけて取り組みを続けており、本シンポジウムではこの2つの課題に対する具体的な施策について共に考えていきたいと挨拶しました。

 

プログラムの最初に、鈴木寛氏(東京大学教授/慶應義塾大学教授)が「イノベーションにおける大学の役割」と題して講演。参議院議員・文部科学副大臣としての功績を持つ鈴木氏は、本シンポジウムの協力団体であるネットワーク型シンクタンク「政策シンクネット」の代表の一人でもあります。

講演で鈴木氏は、産学連携が本格的な組織主導型にバージョンアップする重要な時期にさしかかっており、基礎研究と臨床研究が欠かせないライフサイエンス領域においては特に大学が主導・提案していくイノベーションシステムの構築が求められ、「チャンスを失うリスク」も意識したリスクマネジメントを推進していく必要があると強調しました。

 

続いて、「医療分野における産学連携と課題」と題して、第一三共株式会社 執行役員・戦略本部知的財産部長の佐藤一雄氏が登壇。

医薬品開発における特許の重要性や製薬企業を取り巻く創薬環境の変化について解説した上で、欧米に比べてベンチャーや中小製薬企業の不足が顕著な日本では、大学と大手製薬企業が直接的に手を組むための独自の提携モデルを模索していくことも考慮すべきではないかと認識を示しました。

 

シンポジウム後半では再び渡部氏が登壇し、東京大学で進めている産学連携リスクマネジメントモデル事業の現状について報告。

東京大学では、年間の共同研究が1600件、共同研究関連教員数は延べ270名に上り、大学関連のベンチャー企業は約250社、時価総額の合計は1.3兆円を超えています。大学では今後さらに多様な組織間連携を進めていく必要があると考えており、「学」から「産」へのプロモーションを展開するとともに、産学連携推進に必要不可欠な利益相反マネジメントを「開示」「管理計画」「モニタリング」を中心に構築。今年度は、組織型利益相反マネジメント体制の大幅な見直しを通して産学連携推進を加速していく予定とのことです。

 

パネルディスカッションでは、飯田香緒里氏(東京医科歯科大学教授/産学連携研究センター長)、西尾好司氏(株式会社富士通総研 主任研究員)、日高章氏(黒潮総合法律事務所 弁護士)、小野奈穂子氏(Lerner David Littenberg Krumholz&Metlik 米国弁護士)、鈴木裕道氏(国立研究開発法人日本医療研究開発機構 研究公正・法務部長)の5氏が登壇。オブザーバーとして、文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課 大学技術移転推進室室長の山下洋氏が参加しました。それぞれのパネリストによる発表とディスカッションが行なわれ、「産」と「学」における有識者と、産学連携を支える法律のスペシャリストから、利益相反マネジメントに関する様々な知見が提示されました。

最後に、東京大学医学系研究科 公共健康医学専攻 臨床情報工学分野教授の小山博史氏による総括と、東京大学 研究担当理事・副学長の保立和夫氏による閉会挨拶でシンポジウムが締め括られました。

 

 

 

開催日時 2016.03.25
開催場所 日本橋ライフサイエンスビルディング
主催 主催:東京大学政策ビジョン研究センター (協力:政策シンクネット) 
すでに会員登録がお済みの方はこちらより会議室をご予約いただけます。